PMIとは?M&Aとの関係性

  • 2023年1月24日
  • 2023年2月1日
  • M&A

PMIの概要やM&Aとの関係性について解説します。M&Aを成功させるためにはPMIが必要不可欠です。効果や成功事例、進め方、PMIを成功させるための注意点なども紹介しますので、「M&Aを絶対に成功させたい」「PMIについて詳しく知りたい」という方は参考にしてみてください。

PMI(Post Merger Integration)は、企業の成長戦略として実行されるM&Aに欠かせない重要なプロセスです。しかし、日本でM&Aが行われる際、PMIまでしっかりと行っているケースは多くありません。PMIを行わないことには、M&Aによるシナジー効果が十分に得られないこともあります。

本記事では、PMIの概要、効果、成功事例、進め方、成功させるための注意点をまとめました。PMIについてしっかり理解し、M&Aを本当の意味で成功させましょう。

PMIとは?

PMIはPost Merger Integration(ポスト・マージャー・インテグレーション)の略称で、M&A(合併・買収)を行った後に実行する統合プロセスです。

PMIをしっかり実行することで、M&Aによるコスト・時間の削減、企業文化の融合、ノウハウや知識の共有など、合併・買収することで生まれるさまざまなシナジー効果を最大限に得られます。

統合プロセスは、大きく分けると以下の3つに分類されます。

  • 経営統合
  • 業務統合
  • 意識統合

経営統合は、経営戦略やビジョン、ビジネスモデル、マーケティングなど、マネージメント領域での統合を意味しています。また、業務統合は、業務・インフラや人材・組織・拠点の統合です。そして、意識統合は、企業文化や風土の統合です。

M&A後はまだ混乱している状況ではありますが、限られた時間の中でこの3つの統合プロセスを効率的に行うことが、M&Aの成功につながるのです。

PMIとM&Aの関係性

日本でも経営戦略のひとつとして積極的に進められているM&Aですが、PMIを徹底しないことには、期待していたほどのシナジー効果が十分に得られません。また、最悪の場合は、M&Aが破綻してしまうこともあるため、M&Aの成功にはPMIの徹底は必要不可欠です。

デトロイトトーマツが行った調査によると、80%以上の企業がM&Aの成功基準を「目標の80%以上達成」としているのにも関わらず、80%以上成功したと答えた企業は全体のたった36%でした。2010年に行われた同じ調査に比べると8%上昇しているものの、成功している企業はまだまだ多くありません。

M&Aを行う際、多くの企業は相手企業との合意までに力を注ぎがちです。しかし、M&Aを行う目的は、合併・買収を成功させることではありません。合併・買収ののち、シナジー効果が生まれ、両社が成長することが目的です。

PMIを徹底しなければ、いくら合意までがスムーズにできても、思うような成果は得られません。M&Aで企業が合併したのちに、相手企業とのギャップを埋められるようPMIを見据えた準備をしておく必要があります。

PMIの効果

では、PMIで得られる効果にはどのようなものがあるのでしょうか。ここからはPMIによる統合プロセスにおいて得られる成果をご紹介します。

シナジー効果の最大化

M&Aを実行すれば、さまざまなシナジー効果が生まれます。しかし、シナジー効果はただ合併・買収したからといって自然と生まれてくるものではありません。PMIを徹底してはじめて、期待するようなシナジー効果が得られます。具体的に得られるシナジー効果は、売上拡大やコストの削減、優秀な人材の確保や従業員のモチベーション向上などです。

リスクの事前回避

M&Aにはさまざまなメリットがありますが、メリットの裏にはもちろんデメリットがあります。しかし、PMIを徹底しておけば、M&A成立後の混乱の回避や、従業員モチベーション低下や離職の防止、取引先の関係悪化回避など、リスクを最小限に抑えることが可能です。

PMIの効果と成功事例

M&Aにおいて、PMIを考えていても失敗してしまうケースは少なくありません。効果的なPMIを行って、成功した事例といえば、サントリーホールディングスのビーム社買収が挙げられます。

元々、海外事業を展開していたサントリーは、日本では圧倒的な知名度がありましたが、世界市場では思うような成果が出ずにいました。

サントリーがアメリカの大手ウイスキーメーカー・ビーム社を買収した結果、サントリーは売上9.4%アップを達成し、蒸留酒市場世界3位の座を手に入れています。

日系企業による米国企業買収は、国内でのM&Aよりもさらに大きなギャップが生じます。しかし、サントリーはトップ陣営が衝突を恐れずに積極的な意見交換を行ったことが功を奏しています。

自社の経営理念やビジョンを明確化し、浸透させることに成功。海外では馴染みがないハイボールの市場展開を協働プロジェクトによって成功させる中で、両社の従業員の信頼関係構築も実現しました。

M&Aの成功事例を以下の記事にて紹介しています。

PMIの進め方

では、PMIはどのような流れで進めていけばいいのでしょうか。PMI実行までの流れを解説します。

1. M&A前にPMIの計画と方針を決める

効果的にPMIを実行するためには、M&A前にPMIの計画を立て、デューデリジェンス(買収対象企業の組織・労務・人事に関するリスク調査)の内容を元にし、統合の方針を決めます。実際にPMIを実行するのはM&A成立後ですが、成立前に計画と方針を決めておくことで、スムーズに実行に移せます。

2. ランディングプランを作成する

ランディングプランとは、M&A成立数ヶ月以内に行う計画のことです。経営統合・業務統合・意識統合のそれぞれの面で、ランディングプランを作成し、これまで把握しきれなかった問題点や、見えていなかったリスクの見直しを行いましょう。

3. 100日プランを作成する

M&A成立から100日までに実行する100日プランを作成します。短期の計画を打ち出しておくことで、成立直後に買収される側の従業員が不安や不満を抱くのを防ぎます。展望が見えれば会社に期待を持てるので、離職を防ぐ効果も期待できるでしょう。

4. PMIの実施と検証

M&Aが成立したら計画したPMIを実施して、状況をモニタリングします。PMIによるシナジー効果やリスク軽減の目標を達成できているかを確認することが大切です。

PMIを成功させるために注意する事

PMIを実行したからといって必ずしもM&Aが成功するわけではありません。M&Aを成功に導くPMIを実行するために、注意しておきたいことをご紹介します。

PMIの方向性を明確にする

何を最重視してPMIを実行するかを決めておかなければ、途中でブレが生じてしまいます。買収する側・される側の経営陣がしっかりとコミュニケーションを取り、どのような方向性で進めていくのかを明確にしておきましょう。

衝突を恐れない

従業員の理解を得ようとするあまり、衝突を恐れてしまうケースもあります。しかし、M&A成立後は、どうしても衝突は起きてしまうものです。ただ単に買収される側が買収する側に合わせたとしても、必ず問題は起きてしまうでしょう。

大切なのは衝突を恐れず、積極的にコミュニケーションを取っていくことです。

M&Aによって不安を感じている従業員も、衝突を恐れない姿勢を見れば「何としてでもM&Aを成功させる」という強い意志を理解するようになります。衝突はコミュニケーションで解決するという意識を持って、両社がしっかり向き合って行きましょう。

PMIを早く進めすぎない

スムーズにPMIを実行できるよう準備しておくことは重要ですが、従業員を置き去りにしてどんどんPMIを進めてしまうと、現場は混乱してしまいますし、モチベーションも低下してしまいます。状況をしっかり見極めながら、最適なスピードで実行していくことが大切です。従業員に対しても、その都度コミュニケーションを取り、理解を得ながら実行していく必要があります。

しっかりPMIを練ってM&Aを成功させよう

日本国内でもM&Aを行う企業は多いものの、大企業でも成功していないケースは多々あります。経営戦略としてM&Aを行って成功につなげるためには、PMIが必要不可欠です。

M&Aが成立する前に計画を立てて、PMIの方針を決めておきましょう。しっかり内容を練ったうえで計画を立てて実行し、シナジー効果アップやリスクの削減を実現することが、M&Aの本当の成功につながっていきます。

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全国M&A支援協会

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