日本のM&Aで成功した事例10選!M&Aを成功させる秘訣とは?

日本国内のM&Aで成功した事例を紹介します。M&Aは活発に行われていますが、失敗してしまったケースの方が多いです。成功した事例や成功させる秘訣を参考にして、自社のM&Aを成功に導きましょう。

※MARR online「グラフで見るM&A動向(https://www.marr.jp/menu/ma_statistics/ma_graphdemiru/entry/35326)」
参考のM&Aの推移グラフ

2019年には日本でのM&Aが4000件を超えています。新型コロナウイルスの影響で一時は停滞していたM&Aですが、2020年も3700件を超え、ベンチャー企業が対象となっているM&Aも増加傾向です。では、国内で成功したM&Aにはどのような事例があるのでしょうか。

今回は日本のM&Aで成功した事例や、M&Aを成功させる秘訣について解説します。これからM&Aを検討しているのであれば、成功事例や成功の秘訣を把握して、自社のM&Aを成功させましょう。

日本国内でM&Aに成功した事例10選

ではさっそく日本国内でM&Aに成功した事例を紹介していきます。大企業から中小企業まで国内でM&Aを成功させた事例はさまざまです。ここでは広義のM&Aとして、資本業務提携に成功した一例も紹介していきます。

ココカラファインとマツモトキヨシの経営統合

全国に1400店舗を展開するココカラファインは、ドラッグストア事業・調剤事業・インターネット通信販売事業などのヘルスケア事業を幅広く展開している会社です。一方、千葉県松戸市に本社を持つマツモトキヨシは、関東・東海・関西を中心に全国で1755店舗を運営しており、ドラッグストア事業や調剤事業などを展開しています。

ドラッグストア業界は、業種を超えての新規参入や商業圏が狭小化したことなどにより、厳しい経営状況にあると言われています。そんな状況下でも事業の成長という目標を達成するため、ココカラファインとマツモトキヨシがM&Aで経営統合を行い、マツキヨココカラ&カンパニーが設立されました。

このM&Aによって、マツキヨココカラ&カンパニーは国内で売上高1兆円を超え、売上高業界第2位に躍進しました。

全国で3000店舗を持つ巨大なドラッグストアカンパニーが誕生することとなりました。医薬品・化粧品だけの売上に限ると、これまで1位だったウェルシアを抜いて、1位に躍り出ています。

ベネッセホールディングスによるプロトメディカルケアの買収

「進研ゼミ」や「こどもちゃれんじ」などの通信教育や、大学生・社会人向けの動画学習サービスをはじめとして、教育・育児・語学学習・介護など幅広い分野で事業を展開するベネッセホールディングスが、2021年6月にプロトメディカルケアを買収しました。プロトメディカルケアは介護や医療に関するメディア運営事業、人材派遣業、介護・福祉用品のレンタル事業、情報誌等の出版事業などを手がけている会社です。

ベネッセホールディングスは事業の一環として、介護事業を展開しています。このM&Aの背景には、ベネッセホールディングスが利用者目線でのサービス拡充を目指し、介護施設やサービス展開エリアを拡大させたいという考えがありました。

プロトメディカルケアは、東京の介護業界で高いシェア率を誇っており、介護事業拡大の一翼を担えると判断され、ベネッセホールディングスが全株式を取得することとなりました。

株式譲渡によってプロトメディカルケアの全株式をベネッセホールディングスが取得し、プロトメディカルケアはベネッセホールディングスの完全子会社になっています。譲渡価格は公開されていません。

ニトリホールディングスによる島忠へのTOB

家具・インテリア用品の小売業として600店舗以上を持つ国内大手のひとつであるニトリホールディングスは、家具・インテリア店とホームセンターなど60店舗以上を運営している島忠へのTOBを成立させました。

元々同業大手のDCMホールディングスが友好的に島忠へのTOBを進めていましたが、ニトリホールディングスがより高い買収額でのTOBで対抗。ニトリとDCMホールディングスで島忠を奪い合う形となりましたが、島忠はDCMホールディングスへの同意を取り下げ、最終的にニトリホールディングスのTOBに同意し、島忠はニトリホールディングスの子会社となりました。

このM&Aによって、高品質な家具販売機会の拡大や物流の共同利用によるコスト削減、共通ポイントの導入による相互送客など、さまざまなシナジー効果が生まれるとしています。

大正製薬によるドクタープログラムの買収

国内大手製薬会社のひとつである大正製薬は、機能性基礎化粧品「トリニティーライン」の開発・製造・販売を手掛けるドクタープログラムを2017年に買収しました。このM&Aによって、ドクタープログラムは大正製薬の100%子会社となっています。

ドクタープログラムは、トリニティーラインを中心にスキンケア領域での事業展開をしており、そのほとんどを通信販売で行っていました。

大正製薬は健康食品をメインとして通信販売を展開していますが、スキンケア領域の拡充と若年層の顧客獲得、通信販売事業の強化を目指して、このM&Aを成立させています。

シャープによるNECディスプレイソリューションズ買収

国内最大手の電子通信機器・電子機器メーカーのひとつであるシャープは、プロジェクター、モニターなどの映像表示装置や映像表示ソリューションを開発・製造・販売しているNECディスプレイソリューションズの株式66%を取得・子会社化し、2011年にシャープNECディスプレイソリューションズに社名変更しています。

国内市場をメインとしていたシャープが欧米事業に強みを持ち、法人向けの液晶ディスプレイ、プロジェクターを製造・販売するNECディスプレイソリューションズと連携することで、お互いにグローバル展開を補完し、コスト削減や事業拡大を図ることを目的とし、このM&Aが実行されました。

シャープとNECはNECディスプレイソリューションズを合弁会社として共同運営しています。

日本郵政と楽天の資本業務提携

郵便・貯金・保険の三事業を展開する日本郵政グループと、インターネット関連サービスを幅広く展開する楽天グループは、2021年3月に資本業務提携を発表しました。日本郵政は楽天に1500億円を出資し、出資比率は8.32%となっています。

この資本業務提携の目的は、DX・物流・モバイル・金融の強化です。物流の面では、共同で物流拠点や配送システム・受取サービスを構築し、両社が持つデータを共有化しました。

また、楽天から郵政にDX人材を派遣し、DX推進に協力することも目的としています。郵便局での楽天モバイルの申し込みや、キャッシュレスペイメント・保険領域・物販領域でも協業し、オンラインとオフラインの融合を目指しています。

凸版印刷によるアイオイ・システムの買収

日本の総合印刷会社として世界最大規模の会社のひとつである凸版印刷は、デジタルピッキングシステムや製造DX・物流DXをサポートするスマートカードなどで、製造・物流の課題解決を行っているアイオイ・システムの発行済み株式の75.8%を取得し、2021年に子会社化させました。

このM&Aは、凸版印刷が物流業界のDX事業に本格参入することを目的としています。両社が持つ技術・ノウハウを組み合わせて、新しい価値の提供による物流業界の発展や、次世代DXビジネスの創出を目指します。

GMOインターネットによるOMAKASEの買収

インターネット事業を手掛けるGMOインターネットは、2021年に飲食店・レストランの予約管理サービスを手掛けるOMAKASEを株式交付によって子会社化しました。株式交付は完全子会社化ではなく、子会社にできる2001年3月1日に施行された新しい制度です。

このM&Aは、GMOインターネットが展開しているEC支援事業や決済事業とOMAKASEが保有している顧客の間でシナジー効果を生み出すことを目的としています。

また、OMAKASEでGMOインターネットの経営ノウハウやブランド力を活用することによって、両社の企業価値を中長期的に向上させることを目指しています。

日本商業開発によるツノダの買収

不動産投資事業の「JINUSHIビジネス」、サブリース・賃貸借・ファンドフィー事業、企画・仲介事業を手掛ける日本商業開発は、2021年に不動産の賃貸管理事業を手掛けるツノダの全株式を取得し、子会社化しています。

このM&Aの目的は、ツノダが所有するホームセンターやデータセンターなどの優良不動産を取得し、グループとして所有する不動産物件数を増やすことで、不動産事業を拡大させることです。

事業用定期借地権を利用して不動産投資を行うことにより、安定した収益を確保することを目指しています。

エレコムによるフォースメディアの買収

コンピュータ周辺機器メーカーのエレコムは、ネットワークストレージ製品やネットワーク監視カメラなどの監視ソリューションを提供するフォースメディアの全株式を2021年に取得し、完全子会社化しました。

このM&Aの背景には、BtoC事業を主としていたエレコムがBtoB事業に転換していることが挙げられます。

フォースメディアが扱っている商品やサポートなどのサービスは、エレコムが現在力を入れているBtoB事業を成功させるために不足している商品・サービスを補うことができると判断され、M&Aによって業績向上を目指しています。

成功事例からM&Aを成功させる秘訣を学ぼう

成功しているM&Aもあれば、失敗して大きな損失を出してしまうM&Aもあります。M&Aを成功させるためには、どのようなポイントを押さえておけばよいのでしょうか。M&Aを成功させる秘訣を紹介します。

M&Aを決めたら早めに動く

M&Aは業界が持つ特性や経済動向で受ける影響が大きく、買い手候補が見つかりやすいタイミングがあります。

売り手となる場合は、M&Aを決めた段階で早めに専門家への相談を行い、ベストタイミングを逃さないように素早く動けるように準備しておくことが大切です。

買い手となる場合も、気になる企業が見つかった際にすぐ動けないと、他の企業に奪われてしまう可能性が高くなります。

M&A仲介会社に登録するのはもちろんですが、日頃から積極的にM&A情報を集めておきましょう。

買い手・売り手の双方が自社への理解を深める

買い手側も売り手側も自社への理解を深めておくことが、M&A成功の秘訣です。

売り手側は自社の強みや現状の課題、有している技術などを明確に把握しておくことで、好条件でのM&Aが目指せます。またこの際に、譲渡・売却にあたって売却価格や取引関係の維持、社名など何を優先するかも決めておきましょう。

買い手側も自社の経営理念やビジョン、経営状況、M&Aを行う目的を明確にすることが大切です。自社への理解を深めておけば、マッチする企業が見つけやすくなります。

デューデリジェンスを徹底する

M&Aを成功させるためには、事前にデューデリジェンスを行い、相手企業の財務・法務・税務・労務・ビジネス・不動産などさまざまな調査を行うことが成功の秘訣です。

デューデリジェンスとは買収監査のことで、買い手側が行う売り手側に関する事前の調査を意味しています。それぞれの分野に精通した専門家に依頼するのが効率的です。

デューデリジェンスの結果をもとに、リスクに備えた契約内容にしたり、買収価格を調整したりします。

ただし、デューデリジェンスにかかる費用は高額ですので、必要なものだけに限定して行うようにしましょう。デューデリジェンスについては以下の記事にて詳しく解説しています。

経営者同士でしっかりとコミュニケーションを取る

円満にM&Aを進めていくためには、経営者同士がしっかりとコミュニケーションをとり、良好な人間関係を築いておく必要があります。

経営者同士がよい関係を築くことは、M&Aによる売り手側の既存社員の離職を防ぐことにもつながります。M&Aをきっかけにキーパーソンとなる従業員が離れてしまえば、企業価値を大きく損なうことになるでしょう。

経営者同士がしっかりコミュニケーションをとって、良好な人間関係を築き、円満な事業引き継ぎを目指しましょう。

取引金融機関との良好な関係を築く

M&Aの交渉自体はスムーズに進んだとしても、金融機関から融資が下りなければ、M&Aを諦めなくてはならないことがあります。特に自己資金で買収資金を賄うことが難しい中小企業の場合は注意が必要です。

普段から金融機関と良好な関係を築くことを意識し、将来的にM&Aを検討していることも伝えておきましょう。そうしておけば、いざM&Aを行う際もスムーズです。

従業員・取引先と良好な関係を築く

最終的な契約を結んだら、社内外にその旨を開示します。どのタイミングがベストかは企業によって異なりますが、自社にベストなタイミングで幹部社員に伝えられるようにしておきましょう。

また、M&A後キーパーソンとなる従業員とは、特に良好な関係を作っておくことが大切です。キーパーソンと良好な関係を築いておけば、他の従業員の不満や不安の軽減につながりますし、万一のトラブル発生時にも素早い対応ができます。

取引先との関係も良好にしておかなければ、M&A後がスムーズに進みません。情報を開示したら、できるだけ早く経営者が取引先に挨拶に行きましょう。取引先との契約内容によっては、事前了解が必要なこともあるため、契約内容の見直しも大切です。

売上を上げる

M&Aは売り手側にも買い手側にもメリットをもたらします。M&Aによるシナジー効果を誰から見てもわかりやすく提示するには、売上アップが最適です。クロスセルや相互送客、取引先の紹介などを行い、売上アップにつながる事業展開を行いましょう。

M&A成功のためにはさまざまな知識を得ておく必要がある

2019年には4000件を超え、国内でも活発に行われているM&Aですが、M&Aに成功している企業よりも失敗している企業の方が多いのが現実です。M&Aを成功させるためには、過去の事例も踏まえながら、さまざまな知識を得る必要があります。専門的な知識も必要となりますので、専門家を頼ることを検討してみるのもよいのではないでしょうか。

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全国M&A支援協会

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