M&Aは、企業を買収する買い手側にとっても、譲渡を行う売り手側にとっても重要な意味を持ちます。M&Aに踏み切るときには、その必要性や目的を十分に意識しましょう。M&Aが企業にどのようなメリットをもたらすのかを考えた上で計画を進めることも、重要なポイントです。
M&Aとは企業の合併や買収のことを指します。M&Aには多額の資金が必要となる上、ときには大きなリスクが伴うケースもあります。本記事では、M&Aの目的や重要性について詳しく説明していきます。
M&Aの重要性とは？
M&Aを行う意味や理由を明らかにすることが大切です。
M&Aとは複数の企業を1つに統合したり、ある企業がほかの企業を吸収したりといった対処のことを指します。
企業にとって必須とも言える、成長や競合性を迅速かつ高確率で高められる方法がM&Aです。
M&Aの重要性その①
事業を急速に成長させることができる。
同業をM&Aで統合したのであれば、競合がひとつ減り、競合の実績・技術・客層、その他にも多くを瞬時に得る事が可能です。新規事業でもM&Aによって最速最短で参入して結果に繋げる
M&Aの重要性その②
企業の弱みを補完して成長できる。
例えば、自社と近い業種の企業と合併すればノウハウや技術を更に高めることが可能となります。多くの顧客や取引先を獲得し、経営エリアや扱う商材を増やしていけるのもM&Aならではの良さです。
M&Aの重要性その③
買い手側と売り手側の企業が合併することで得られるシナジー効果。
ビジネスシーンにおけるシナジーとは相乗効果のことを指します。お互いのリソースを有効活用することで、単独では成し得ない大きな効果が生まれやすくなります。
M&Aの目的や方針を定めることをM&A戦略と呼びます。
買収する側である買い手企業だけでなく、統合される売り手企業にも確固たるM&A戦略が求められます。M&A戦略を十分に考えずに計画を進めていくと、失敗のリスクが高まってしまうことになります。
企業がM&Aを選択肢に入れるときにはまず、M&Aの重要性について考える必要があります。M&Aが本当に必要なのか、なぜM&Aをしなければならないのか、何のためにM&Aを行うのかといった目的や方向性を明らかにしておきましょう。
多くの企業がM&Aの重要性を意識している
M&Aには多額の資金が必要となります。中小企業の場合、M&Aに使える資金には限りがあるため、冷静に判断しなければなりません。想定よりも多額の資金が必要となるなど一定のラインを超えたときには、M&Aをあきらめる判断も必要です。
当然ながら、企業にはM&Aを行わないという選択肢もあります。M&Aでは従業員の労働環境や雇用条件が大きく変化するほか、既存の顧客や取引先との関係性に変化が生じ、対応を強いられることになります。
場合によっては企業風土のミスマッチが起こり、従業員からの反発が起きることがあるかもしれません。せっかくM&Aをしたにも関わらず、思ったような効果が見込めなかった場合、企業運営が難しくなったり負債を抱えたりするリスクも考えられます。
それでも多くの企業がM&Aに踏み切るのは、M&Aにリスクや問題点をしのぐほどの圧倒的なメリットが得られるという理由があります。
M&Aが企業の存続や成長のために重要な意味をもつと考える経営者は少なくないのです。
9割以上の経営者がM&Aを「一般的によく聞く言葉」と認知！
“M&Aに関するイメージについて尋ねたところ、90%以上が「よく聞く一般的な言葉」だと回答しました。M&Aは、2000年代前半までは海外企業の買収や銀行の不良債権処理のために大企業が主として利用する手法でした。しかし、リーマンショック以降は、中堅・中小企業の事業承継のための手段としても用いられるようになりました。かつては、「売った・買った」の部分のみがフォーカスされることの多かったM&Aですが、事業承継の時期を迎える中堅・中小企業が増えた昨今、一般的な用語として定着しつつあることが伺えます。”
日本の経営コンサルティングのパイオニアである株式会社タナベ経営（本社：東京都千代田区・大阪市淀川区、代表取締役社長：若松 孝彦）は、全国の経営者、役員、経営企画・経理財務・事業開発責任者、M&Aの担当者を対象に実施した「2022年度M&A・事業承継に関するアンケート」の結果にて。
引用元：https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000099.000058707.html
M&Aの際にはメリットを把握しておくことが重要
M&A戦略を立てるときには、M&Aによってどのようなメリットがもたらされるのかを意識したいものです。
M&Aは譲り受ける買い手企業と譲渡する側の売り手企業の双方に多大なメリットをもたらします。ここからは、M&Aの際に把握しておきたいメリットについて見ていきましょう。
M&Aが買い手企業にもたらすメリット
M&Aが買い手企業にもたらす最大のメリットは、事業規模を拡大させられるという点にあります。
企業が新規事業を立ち上げるときや既存の事業を拡大させるときには、人材確保やマーケティング、技術開発など多くの時間とコストがかかります。
M&Aという選択は、既に軌道に乗っている状態の事業を買収することにほかなりません。スムーズにM&Aが進めば、事業の立ち上げや販路拡大にかかる時間やコストを大きく短縮することが可能となります。
M&Aによってビジネスの規模が大きく広がるのもM&Aのメリットです。M&Aを実施すれば、顧客や取引先、仕入れ先、流通網、販売エリアなどが増え、規模の拡大につながります。
また、他分野への参入やバリューチェーンの拡大を図れるのもM&Aの魅力です。取引の量が増えるため仕入れコストを下げたり設備の稼働率をアップさせたりといった形でコスト削減を目指すことも可能です。
M&Aには、シナジー効果によって経営の効率化や企業価値のアップが実現するという重要な意味もあります。適切なM&Aを行うことで競合他社に対する優位性を得られる点も、M&Aの大きなメリットです。
M&Aが売り手企業にもたらすメリット
M&Aを考える売り手企業の多くは、現状の経営になんらかの問題を抱えています。特に、後継者問題からM&Aに踏み切る企業はかなり多いものです。
・後継者問題の解決
・人材不足の解決
・資金繰りの改善
・廃業コストの節約
・事業の拡大
etc..
少子高齢化や人手不足が叫ばれる時代に会社の跡継ぎを確保するのは難しいのが現実です。バブル後に採用引き締めを行ったことにより、跡を継げる従業員や役員が十分に育っていない例もあります。
跡継ぎがいない場合、自身の代で廃業するという選択肢もあります。しかし、廃業にも一定のコストがかかりますし、これまで働いてきた従業員や関係を持った取引先のことも気がかりです。
M&Aを実施すれば会社を廃業することなく事業を継続していくことが可能となります。これまで会社が積み上げてきた技術やノウハウ、従業員の雇用や取引先との関係が失われてしまうこともありません。それどころか、適切な契約を結べば事業のさらなる拡大も期待できます。新たな形で事業を続けていけるという意味で、M&Aは売り手側にとって重要な選択肢なのです。
M&Aでは、完全に株式を譲渡する方法のほか、一部の事業のみを売却する事業譲渡を選択することも可能です。事業譲渡には、利回りの低い事業を手放せる上に、譲渡金を得られるという大きなメリットがあります。
M&Aには、経営に問題を抱える企業にとって大きな契機になるという重要な意味もあるのです。
M&A成功のためには十分な戦略を立てることが大切
M&A戦略を立てる際には、現在の自社の状況や事業戦略について把握しておく必要があります。M&A戦略のみを考えるのではなく、自社のこれからとリンクさせて整合性を保つことが重要です。
売り手企業はまず、自社にどのような強みがあるのか、成長分野はどこなのかといった点を洗い出しましょう。買い手側の企業は、今後補強したい点について把握しておくのが有効です。
M&Aによって想定されるシナジー効果、進出したい分野やエリアなどに着目し、自社の希望に近いターゲットを選定しましょう。M&Aによって自社の弱みがどのように克服されるのかを探り、具体的な戦略を立てたいものです。
必要に応じて市場調査を行うのも効果的な方法です。業界の規模や将来性、製品やサービスの具体的な内容、競合の数や規模、リスク要因など、多角的な調査を行いましょう。これらの調査結果を分析すれば、なぜM&Aが重要な意味を持つのか、M&Aによってどのようなメリットがもたらされるのかといったポイントが見えてくるかもしれません。
M&Aは2つの企業が統合されればそれで終わりということではありません。M&A戦略では、統合以降にどのような経営を進めるべきかを含めて考えておくことが肝心です。
先を見据えてM&A計画を進めよう
M&Aは双方の企業にとって重要性の高い選択肢です。しかし、十分な検討をしないままM&Aを進めてしまうと、思ったような効果が得られないこともあります。
まずは、M&Aによってどのような変化がもたらされるのか、どのようなメリットを享受できるのかを冷静に見極め、経営判断を行うことが大切です。十分な調査を行ったり条件面をすり合わせたりと時間をかけて計画を進めることが、M&Aの成功につながります。